カメラを趣味にしていると、実は意外にも奥が深いのが「ストラップ選び」。一見小物のようでいて、その使い心地やデザインは撮影ライフに大きく影響してきます。純正ストラップの安心感も捨てがたいですが、機能性を求めるならピークデザインやニンジャストラップなど、ブランドや素材の違いによって特性は千差万別。さらに、見た目の可愛さやレトロ感を重視すると、これまた選択肢が山のように広がります。
今回はFUJIFILMのXシリーズのように、カメラ自体のクラシックなルックスを活かすストラップをご紹介。そんな「カメラとストラップの相性探し」という、ある意味では“沼”とも呼ばれる世界を、4つのセクションに分けてじっくり語っていきたいと思います。
ストラップ選びの始まりと葛藤 ~カメラ沼の入り口~
カメラを購入するとき、まず迷うのは「どの本体にするか」というところですが、一度その大きな山を越えるとやってくるのが「ストラップ、どうしよう?」という問題です。
純正ストラップは安定感とブランド感がありますが、「もっとおしゃれにしたい」「疲れにくいタイプがいい」「機能面を強化したい」など、こだわりだすと止まらなくなるのがストラップ選びの恐ろしさ。最初は「とりあえず純正ストラップでもいいかな」と思っていたのですが、カメラの見た目を考え始めた途端、その“沼”にどっぷりはまりました。
私は現在はOLYMPUSのカメラを使っていますが、FUJIFILMのカメラも大好きで、クラシックなデザインが特徴的なX-M5は、撮影していないときも肩から下げているだけでワクワクするんですよね。だからこそ、ストラップもカメラ本体と同じように「見た目にこだわりたい!」という欲求が強くなりました。たとえば、レトロ感をさらに引き立てる革製のストラップや、花柄のバンダナタイプのストラップ、ロープ型でオシャレ度の高いものなど、人によって好みは実にさまざま。
純正ストラップでも撮影には十分なのですが、やはりカメラライフを楽しむうえで「自分のスタイルを表現したい」「アクセサリー感覚で持ち歩きたい」という思いが強くなると、どうしてもいろいろなブランドのストラップを見比べるようになります。私の場合は「見た目重視+使い心地重視」の両方を満たしたいという、ちょっとわがままな条件がありました。
見た目に特化したものは山ほどありますが、写真を撮る現場では、快適性や機能性はかなり大事です。たとえば長時間持ち歩く旅行や、移動の多い撮影ロケだと、首や肩への負担は無視できません。「おしゃれだけど肩こりに耐えられない…」というストラップではもったいない。しかし、かと言って機能性重視だけで選ぶと、デザインがシンプルすぎたり、カメラのレトロ感を邪魔したりすることもある。そこが「カメラストラップ選びは沼」と言われるゆえんなのでしょう。
さらに厄介なのは、やっぱり「実物を手にしてみないとわからない」という点です。お店で実物を首にかけたり、手首に巻いたりして初めて分かる感触があるし、カメラとのバランスや重量も体感してみないとイメージできません。デザインで「これだ!」と思っていても、首への負担が大きかったり、調節機能が思ったより使いにくかったり…実際に使わないと気づけない点が多いんですよね。
私自身、最初は有名ブランドのものを一通り試してみました。ピークデザインのストラップは機能性が高く、アンカーリンクスで素早く付け替えられるところが魅力的。一方で、FUJIFILMのレトロなデザインとの相性を考えたとき、見た目の好みで悩む瞬間がありました。ニンジャストラップもスライド調節の便利さが最高だったのですが、やはり“いかにも機能性”という感じが強く、私の求める“クラシカルなおしゃれ感”にはあと一歩届かない。

そんな試行錯誤を経て、「いや、もう実用性と見た目の両立は諦めて、一周回ってロープタイプとか革タイプとかに振り切ろうか」と思い始めたとき、ロープ型ストラップのカッコよさにも惹かれました。実際、X-M5でロープタイプを使っていた時期があって、その手に巻きつけやすさや、すっきりとした見た目はすごく気に入っていました。しかし、ロープタイプだと長さ調節が限られていることや、細身ゆえの首や肩への負担が大きいというデメリットを痛感。見た目を優先すれば、ある程度の負担は受け入れなきゃいけないのは理解しつつも「もう少し楽にならないかな…」というモヤモヤが常にあったんですね。
これが“沼”と言われるゆえんで、「完璧なストラップなんてないのかも。ある程度はどこかを妥協して使い続けるしかないのかな…」と思い始めた矢先、思いがけない出会いが訪れました。
様々なストラップを渡り歩いた検証の道 ~機能性とデザインのせめぎ合い~
FUJIFILMのクラシカルな見た目もいいのですが、はSonyα 7IIIのように、見た目が近未来的かつスマートなイメージで、FUJIFILMのレトロ感とはまた違った魅力のカメラの場合は「シンプルだけど疲れにくいストラップ」が最優先で、太めの幅で負担が少ないタイプを選ぶことが多かったんです。
その当時は革のストラップに強い憧れはあったものの、なんとなく「Sonyのボディにレトロな革ストラップはあまり似合わないかも…」という考えがあって、デザインというより機能性重視で探していました。たとえば、タムロンのズームレンズをつけるとボディがそこそこ重くなるので、それを一日中持ち歩くなら首が楽なストラップがいい。となると、自然と「もっと太いタイプのネオプレン素材」や「パッド付きのストラップ」などに目がいくようになります。
一方、FUJIFILMの場合はそのデザインが大好きになったこともあり「見た目重視」にシフト。具体的には、さきほど少し触れたロープ型ストラップをしばらく愛用していました。ロープ型ストラップはおしゃれ度が高く、サッと手に巻けるのも便利。しかしながら、長さ調節がしづらいことや首や肩への負担が気になるという難点がある。それでも「まぁ、見た目を優先すると仕方ないよね」と納得していました。
そんな妥協の中でくすぶっていると、ついつい「もっといいストラップないかなぁ」とネット検索してしまうんですよね。ストラップ沼にハマった人のあるあるだと思います。海外ブランドやハンドメイド品など、オシャレなものが数えきれないほどあって、色や材質も実に多彩。カメラ雑誌やSNSでストラップ自慢を見かけるたびに、「これいいな…」「でもこれって実際使い勝手はどうなんだろう」と気になり続ける。そのループから抜け出せず、結局いつまでも“ベストストラップ”を探し求めてしまうんです。
たまにカメラ2台体制で撮影に出ることもあるので、「ストラップの付け替えが気軽にできる機能」は大きな魅力。それをきっかけにピークデザインのアンカーリンクスを使いはじめ、一時期は同ブランドのストラップを愛用していました。ただ、先述したようにFUJIFILMのボディに合ったクラシックな雰囲気という面では、少し“メカっぽさ”が前に出すぎるかもしれない。そう感じた瞬間、「やっぱり革のストラップが欲しい…」という気持ちが再燃してしまい、また振り出しに戻るという状況です。
一方で、革ストラップには革ストラップの課題もあります。ロープのときと同じで、長さ調節が容易でないタイプが多いですし、革の質感によっては硬くて首への当たりが痛かったりすることもあります。また、革製品は安いものだと作りが荒かったり、裁断面がザラザラして服やカメラを傷つけてしまうリスクもある。良い革のストラップは値段もそれなりにするので、実物を見ずに通販で買うのはちょっと勇気が要ります。
そんなこんなで「機能性重視を取るか、見た目重視を取るか、両方をバランス良く求めるか」で延々と迷う日々。ロープタイプを使っていた私も、肩の負担から離れられない現実に少々落胆しつつ、それでも「見た目優先でいいや」と半ば諦めムードになっていました。ところが、ある日ネット検索をしていたときに、「Ulysses(ユリシーズ)」というブランド名がふと目に止まったのです。どうやらカメラケースやストラップなどをシンプルかつ飽きのこないデザインで作っているらしい。サイトの写真を見ると、どれも上品でいて、“クラシックとモダンを両立した絶妙なバランス”という印象を受けました。
正直、最初は「よくある革ブランドのひとつかな」と思っていました。しかし商品ページを見進めるうちに「なんだか他と違うこだわりがありそうだぞ」と直感。試しに購入してみようと思ったのですが、そこにはさらに幾つもの種類があって、「どれにしよう…」と再び迷走を始めることに…。
Ulyssesとの出会い ~「70%グランデ」の魅力を語り尽くす~
結論から言うと、私が選んだのはUlyssesのストラップ「70%グランデ」でした。色は黒。実際に触ってみて感じたのは、革の質感の良さと柔らかさ、そして意外なほどのフィット感。とにかく「使っていて心地いい」という感触がはっきりとありました。

まず、デザインが素晴らしい。FUJIFILMのレトロなボディに自然に溶け込みつつも、質の良い革の存在感がほどよく主張してくれます。太さはしっかりありつつ、革自体が柔らかいので肩や首への負担が大きくなりにくい。ロープタイプのスタイリッシュさと比べるとまた違ったテイストですが、「カメラと一体化するような安心感」が得られました。
さらに気に入ったところは、革の切断面やステッチの丁寧さ。安い革製ストラップだと、裁断部分の処理が甘かったり、縫い目がほつれたりして長く使うとボロボロになることがあります。でもUlyssesのストラップは、そういった細部まで非常にきれいに仕上げられていて、「見えないところにも気を配っているな」という職人技を感じました。使い込むほどに“革のエイジング”が楽しめるのも革製品の醍醐味で、多少のキズがついてもそれが味になるのが最高です。

内側にはブランドのロゴと、カエルの手のアイコンがさりげなく刻印されていて、これがまた可愛い。実はこのカエルのマークにもしっかり意味があるそうですが、細かいストーリーは公式サイトで読むと面白いです。機能面では、金属パーツがほとんど使われていない点もお気に入りポイントでした。カメラ本体に金属のフックが当たってしまう心配が少ないので、万一の擦り傷リスクが抑えられます。

唯一のデメリットは、長さ調節にやや手間がかかること。Ulyssesのストラップは、本体との接合部分を革紐で通して固定するタイプが多く、頻繁に長さを変えたい人には合わないかもしれません。
実際に使い始めてから1年以上、「もう他のストラップに浮気しようと思わない」ほどの満足感を得ています。肩への負担はゼロではありませんが、ロープタイプを使っていたときに比べると格段に楽になりました。旅先や撮影ロケでもカメラを下げっぱなしで歩き回ることに抵抗がなく、「見た目良し、機能良し、しかも飽きが来ない」というバランスの良さが際立っています。
このストラップへの思いは、言葉では言い尽くせないほど。革の経年変化もあり、日々愛着が深まっていくのを実感しています。最初は「高価なストラップを買うのってどうなの?」と少し尻込みしていましたが、今では「むしろ早めに買っておけばよかった!」とさえ思うほどです。カメラアクセサリーにこだわるとき、「少し高くてもクオリティの良いものを大切に使う」というのは大いにアリだなと、改めて実感しています。
ストラップを通じて見えた「こだわり」の本質 ~まとめと答え~
ここまで歩んできたストラップ選びの道のりを振り返ってみると、結局のところ「自分の好みや撮影スタイル」をいかに理解しているかが大事だったなと思います。私の場合は「カメラのレトロ感を活かしたい」「疲れにくさも欲しい」「長く愛用したいから丁寧な作りがいい」という条件があった。だからこそ、Ulyssesのストラップに出会ったときに「これだ!」と確信を持てたのだと思います。
ストラップ選びをしているとき、どうしても「見た目」「機能性」「価格」「ブランド」など、いろいろな視点が混ざり合って悩みがちです。見た目を優先すれば快適性がやや犠牲になるし、機能性を優先すればデザインがシンプルになりすぎることも。あるいは「あの有名ブランドを使ってみたいけど、値段が…」と財布と相談になったりしますよね。
でも最終的に大切なのは「自分のカメラライフで重視したいことは何か」「妥協できる部分はどこか」「どういう場面でカメラを使うか」という軸を明確にすること。「FUJIFILMのボディに合うレトロかつ革の風合いが良いストラップが欲しい」「でも首への負担はなるべく抑えたい」「複数ストラップを使い分けられる柔軟性も欲しい」と考えた結果、Ulyssesの革ストラップ+ピークデザインのアンカーリンクスという組み合わせに落ち着きました。

実際、ストラップ選びはカメラを持っている限り続く趣味の一部かもしれません。私もロープタイプを使っていたころは「ああ、やっぱり疲れるな…でも見た目は最高だしな…」とちょっとしたジレンマを楽しんでいました。そういう意味で、ストラップは単なる「カメラをぶら下げる道具」ではなく、「撮る人の個性を反映するファッションアイテム」なのかもしれません。
Ulyssesのストラップを使うようになってから、「妥協せずにこだわって良かった」と心底思っています。もちろん、誰にでも合うわけではありません。そもそも革独特の質感や管理の手間を煩わしいと感じる人もいるでしょうし、頻繁に長さ調節を変えたい人には向かないかもしれません。それでも、「自分が本当に求めていたもの」を具体的にイメージしたうえで探し続けると、いつかしっくりくるストラップに出会うはずです。
最後に、もし「Ulyssesって気になるかも」と思った方がいたら、公式サイトを覗いてみることをおすすめします。いくつかシリーズがあるので、カメラのサイズや用途に合わせて選べるのも魅力のひとつ。70%グランデはほどよい太さがあり、肩への負担が軽減されやすいのでとても気に入っています。
まとめとしての答え
- ストラップ選びは“趣味”の領域。 だからこそ、楽しみながら「見た目」「機能性」「価格」「ブランドのこだわり」などをトータルに検討すると良い。
- 譲れないポイントと妥協できるポイント を明確にする。たとえば見た目重視なら多少の負担は我慢できるし、機能性重視ならデザインのシンプルさは受け入れるなど。
- 革ストラップを検討しているなら、Ulyssesは一見の価値アリ。 丁寧な作りと飽きのこないデザイン、豊富なカラーバリエーションが魅力。
- アンカーリンクスの併用など工夫次第で、調節の難点はクリアできる。 付け替えや持ち手部分の使い分けが快適になるので、複数のストラップを楽しみたい人におすすめ。
それでは、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。ストラップ選びに正解はないとはいえ、自分にピッタリのストラップに出会えたときの喜びは格別です。撮影のモチベーションもぐっと上がりますし、カメラを持ち出すのがより楽しみになります。皆さんのカメラライフをちょっとでも豊かにするヒントになれば幸いです。
